いきなり厳しい原則ですが、基本的には飲まないにこしたことがありません。それは以下の様な理由からです。
1・お酒には栄養素が全くなし
アルコールはカロリーが高く、他に見るべき栄養素が全くと言っていいほど含まれていません。そのため、栄養素バランスを崩しやすくなります。
アルコールをエネルギーの面からだけとらえて、ご飯などの他の食品と交換するのは適当ではありません。
2.食事療法が乱れる
アルコールは食欲を刺激し、肥満の原因となり、自己抑制がきかなくなる為、食事制限が守れなくなります。
このため、血糖のコントロールが悪くなります。食事療法の失敗の主な原因は、男性の場合はアルコール、女性の場合は間食だとされています。
3.低血糖を招くおそれが
- 経口剤やインスリン製剤の効果を強くし、時には低血糖を起こす作用があります。
- インスリン注射をしている場合には、時間によっては低血糖を起こしやすくなります。
- 血中の中性脂肪の高くなりやすい人、血圧の高くなりやすい人、尿酸の高くなりやすい人が糖尿病では多いですが、アルコールはこれらを助長します。
- 合併症のある場合は悪影響があります。
「飲むなら食べる」が原則
お酒との付き合い方
お酒は百薬の長というだけあり、程々に飲むのには心をリラックスさせ、人間関係をスムースにするなどの利点があります。しかし、自制心を失ってつい飲み過ぎたり、また、食欲を増進する作用もあるので、ほかの食事も多くとりがちになります。糖尿病の方にとって、特に飲酒は危険を伴います。お酒の上手なのみ方と注意点について確認しておきましょう。
1.おつまみなど食事の内容にひと工夫を
お酒を飲む時に第一に注意することは、適正な飲酒量を守ることです。
そして、ただお酒を飲むのではなく、「食べながらゆっくり飲む」のが原則です。 さらに、食品については、良質のタンパク質を含む脂身の少ない肉類、魚介類、卵、大豆製品や、ビタミン・ミネラルを含んだ野菜・きのこ・海藻などの食品を取り合わせて、栄養のバランスの良い肴を工夫することが大切です。
たとえば、さしみ、焼き魚、納豆、おひたし、酢の物、枝豆などがよいでしょう。
アルコール自体にかなりのカロリー(7kcal/g)があります。
てんぷら、フライ、唐揚げ、ポテトチップス、レーズンバターなどのカロリーの高い食品をお酒と一緒につまんで食べてしまうのは、カロリーの摂取が多すぎてしまうのでよくありません。
アルコールの栄養はほとんどがカロリーで、他の栄養素が含まれていないので、主食(ごはん、パン、めん類など糖質の多い食品)量全部と交換することは避けて下さい。
アルコールを飲んでいても、必ず茶碗一杯程度のご飯を食べましょう。
2.アルコールを飲む時の注意
- アルコールは、主治医の許可を得てから飲む。指示量は必ず守ること。
- 低血糖を避ける為にも空腹時に飲まない。
- 主食・主菜・副菜のバランスの良い食事と一緒に飲む。
3.アルコールを飲んでも良い条件
- 血糖調節が長期間良好に保たれていること。
- 体重が標準、もしくはそれ以下に保たれていること。
- 飲み始めても一定量で止まる人。
- インスリン療法、特に経口剤の投与を受けていない人。
- 合併症がないこと。
- 動脈硬化性病変を持っていないこと。
- 肝臓、すい臓の疾患がないこと。
ちょっと厳しい内容ですが、以上の全てを満たす事が求められます。
糖尿病だからといって「酒は飲めない!」と落ち込むことはありません。
上手な飲み方、食べ方をすれば、食生活も楽しくなります。
お酒がやめられないという方は、ぜひお酒との上手な付き合い方を目指して頑張って下さい。
適量を飲めば「百薬の長」に
肝臓を休める休肝日も大切
「酒は諸刃の剣」と言われるように、適度なアルコールの摂取は、健康・長寿を促す場合もあります。
糖質量で飲むお酒を選びましょう
アルコールは1g7k㌍が目安ですが、エネルギーがあるだけで、主要な栄養素をほとんど含みません。過度の飲酒と偏食を続けていると短期間で肥満や栄養失調となります。
さらしあ本舗では、ビールよりは糖質ゼロの発泡酒、日本酒よりは焼酎をおすすめしています。
お酒を楽しむときの約束ごと
■楽しむ酒か、仕事上の付き合いかをきちんと区分します。 楽しむ酒は、自分のペースに応じて飲み、仕事上の付き合いの場合は、飲んでいるフリをするだけにとどめます。
■ウサ晴らしの酒は、極力控えます。運動や公園の散歩など、体を動かすことに振り替えます。
■自分のそのとこ時の酒量を把握します。飲み進めていると、急に「マズイ」と感じる瞬間があり、この時点の酒量が、そのときの自分の体調に応じたものです。そこで「やめる」という強い意志を持ちましょう。
休肝日のパターンは、以下のとおりです
- 糖尿病予備軍:休肝日、週1~2日。2回の場合は、3日飲酒+1日休むパターンで
- 糖尿病初期 :休肝日、週2回。5日飲酒+2日連続休むパターンで
- 糖尿病進行 :休肝日、週3回。2日飲酒+一日休むパターンで
- (ただし、血糖コントロールがうまくいっている場合)
■軽く何かを食べてから、お酒に移ります。飲食店では、まず飲み物のオーダーがとられ、先にお酒を体に入れてから食べ物をとるのがほとんどですが、空腹時にお酒を流し込むことが、もっとも肝臓を痛めます。
■つまみは、高カロリー・高脂肪食は控えます。野菜、大豆製品、海藻類、酢の物を中心にしましょう。
■家で飲むことが多い人は、お酒の買い置きをやめます。
そうはいっても、ついつい飲みすぎてしまうものです、そのようなときは、以下のようにしてください。
翌朝の食事の際は、野菜を中心にし、オレンジジュースなどの生ジュースをとり、昼食も野菜中心の低カロリー食とします。
適度な飲酒は健康に良いとされますが、飲みすぎると様々な臓器に障害をもたらします。肝硬変や膵炎、痛風、心筋症、咽頭がんなど、ほとんどすべての臓器にかかわる病気の原因に!もちろん、糖尿病もそのひとつです。
上手に飲めば、ストレス緩和や気分転換に有効な百薬の長ですが、飲み過ぎは万病のもと、糖尿病のもとです。
ここでは、糖尿病からみたお酒との付き合い方を考えてみましょう。
『とりあえずビール!』糖尿病
糖尿病は、血中のブドウ糖濃度が高い状態が続く病気です。
糖質が体内で消化されることによりできるブドウ糖。糖質を摂り過ぎると、体内のブドウ糖を処理しきれずに、血液中に血糖濃度が高くなってしまうのです。
私たちに馴染みの深いビールや日本酒は、特に糖質の高いお酒です。
『とりあえずビール!』といきたいところですが、2杯、3杯……とならないように気をつけたいものです。
お酒の中でも、ウイスキーや焼酎など蒸留酒と呼ばれるお酒には糖質は含まれていません。糖尿病のことを考えれば、できるだけ蒸留酒や糖質ゼロビールなどを選択する方が良いかもしれませんね。
糖質ゼロなら、OK?
しかし、いくら糖質が少ないからといって、どれだけ飲んでもいいというものではありません。飲酒によるリスクは糖質だけではないのです。
アルコールには、食欲を増進させる効果があります。食欲のない時など適度な飲酒は効果的ですが、酔いが回ると食欲は更に増してしまいます。アルコールによる満腹中枢麻痺も手伝って、飲むとドカ食いしてしまうという方も多いのではないでしょうか。
いくら糖質ゼロのお酒を選んでも、おつまみの唐揚げやフライドポテト、シメのラーメンに含まれる糖質やカロリーを考えると、はやりアルコールは控えた方が良さそうです。
糖尿病と関係の深い膵臓
アルコールが原因で起こる病気のひとつにアルコール性膵炎があります。大量にアルコールを摂取することで、膵臓が膵臓自身を壊してしまう急性膵炎。このような状態を繰り返すことで、慢性膵炎となってしまいます。
膵臓は、インシュリンというホルモンを分泌します。インシュリンは、血糖値が上がると膵臓から分泌され、余分なブドウ糖を血中から除いてくれる、大切なホルモンです。
普通の食生活を送っていても、インシュリンの分泌が弱まれば、血糖値を正常な状態に保つことが出来なくなり、糖尿病を発症するケースもあります。
特に、膵炎からの糖尿病は、血糖値を下げるインシュリンだけでなく、血糖値を上げるグルカゴンというホルモンの分泌も低下しますので、血糖値を正常に保つためのコントロールが非常に難しくなります。
膵炎は再生能力が弱いため、一度その働きが衰えてしまうと、完治は難しいと言われています。
私たちは、ガラスのような臓器に支えられているのだということを自覚しなくてはいけません。
アルコール
アルコールが原因で起こる膵炎が糖尿病を引き起こすことは先に述べましたが、逆に糖尿病から膵炎を併発する場合もあります。
糖尿病の恐いところは、膵炎の他、狭心症や心筋梗塞、腎炎、胃がんなど、様々な合併症を引き起こすことです。
アルコールは百薬の長であり、万病のもと。
付き合い方を誤れば、糖尿病など命に係わる重篤な病気を引き起こすリスクがあることを忘れずに、付き合いたいものですね。