糖尿病と運動不足

高血糖を改善するためには、食事療法に加えて、運動療法が欠かせません。

糖尿病患者は、戦後自動車の保有台数が増えるのと同じ割合で急速に増加してきました。

つまり交通機関が整備されて歩く機会が減少すればするほど、糖尿病が増えてきたと言うことです。

昔から「糖尿病は歩いて治す」と言われていますが、この言葉は、高血糖の原因と運動療法の大切さをうまく表現しています。

運動には、「有酸素運動」と「無酸素運動」があります。

有酸素運動は、ウオーキング、軽いジョギングなど全身を動かすもので、酸素を取り入れながら筋肉を動かします。

これに対し、筋力トレーニングのように、瞬間的な力を要するのが無酸素運動です。

血糖コントロールに必要なのは有酸素運動で、運動によって血液中のブドウ糖が消費され、血糖値が下がります。

これに、軽度の無酸素運動を並行して行うと、筋肉がきたえられて、細胞内でのインスリンの働きが向上します。

運動を行う適切な時間帯は、食後30~60分ほど経過し、血糖値が上がるころです。

高血糖の場合、食後にいったん上がった血糖値がなかなか下がらないことが悩みのタネです。

そこで効果的に運動することで血液中のブドウ糖もエネルギーとして使われ、糖の代謝を進めるすい臓の負担を軽減できます。

よく、「1回20分以上で効果が出る」と言われますが、実際は、1回に10分以上の運動で、血液中のブドウ糖は燃え始めます。

よって、1日10分×3回でも効果はあります。