家族が糖尿病になったら?

糖尿病は生活習慣病のひとつです。
生活習慣から起こる病気ですから、薬を飲むだけ、何かひとつに気をつけるだけでは改善しにくいといえます。

生活習慣の形成は、家庭環境の影響が大きく、糖尿病治療には家族の協力が不可欠です。今までの習慣を改めることは非常に困難ですが、家族の支えのもとで治療を行うことで、より効果的な改善を望むことができるのです。

また、ご家族も同様の生活環境下にある可能性が非常に高いため、糖尿病発症のリスクも高いと考えられます。
家族の誰かが糖尿病と診断されたら、食事療法・運動療法に協力することはもちろん、ご家族全員が糖尿病予防として生活習慣を改めることが必要なのです。

糖尿病の主な原因は生活習慣にあり

糖尿病には 劇症型の1型糖尿病と、毎日の生活習慣の積み重ねにより発症する2型糖尿病があります。
一般的にいわれる『糖尿病』は1型のことが多く、90%以上は1型糖尿病と言われています。

生活習慣とは、毎日繰り返される行動のこと。朝起きて食事をしたり、会社や学校へ行き、家へ帰って就寝するという日常です。
睡眠、運動、栄養、休養、嗜好など、普段の生活習慣の中に糖尿病は潜んでいます。
睡眠不足、運動不足、栄養の偏り、ストレス、喫煙など、糖尿病の要因を毎日積み重ねることで、徐々に糖尿病発症へと近づいていくのです。

特定の要因を改善するのではなく、日常生活全体を見直すことが、糖尿病の予防・治療となります。

糖尿病の家族歴のある人はリスクが高い

糖尿病になりやすい人の条件のひとつに『家族に糖尿病の人がいる』ということが挙げられます。
理由の一つは遺伝的因子という面、二つめは同じ家庭環境の中で暮らしていることが要因のひとつと考えられています。

一つめの遺伝的因子というのは、『糖尿病になりやすい体質』と言い換えることもできます。
お父さんが糖尿病だから自分も糖尿病になる、ということではなく、なりやすい体質を受け継いでいる可能性があるということ。
糖尿病自体を受け継いでいる訳でありませんが、食生活の偏りや喫煙、運動不足などの要因が積み重なると、糖尿病を発症しやすいと考えられます。

二つめの同じ家庭環境で暮らしているということは、生活習慣の形成に大きく関わっている状況が同じということになります。
炭水化物の多い食事を毎日一緒に食べたり、お父さんの喫煙と家族の受動喫煙というように、糖尿病発症の要因を同じように積み重ねている可能性が高いのです。

糖尿病に『なりやすい体質』と『なりやすい生活環境』という二重の要因により、糖尿病の家族歴のある人はリスクが高いと言われています。

家族で糖尿病予防・治療

家族が糖尿病と診断されたら、本人だけの問題ではありません。家族全員で糖尿病と向き合うことが必要です。

本人に変えようという強い意志があっても、毎日続けてきた生活習慣を改めることは容易なことではありません。
本人だけ糖尿病食で、家族みんなは焼肉というのでは、強い意志もポキッと折れてしまいますよね。
家族の支えと協力なくして、糖尿病の改善は困難です。

また、家族みんなに糖尿病リスクは潜んでいることを忘れてはいけません。
家族の生活習慣が変わらなければ、誰かが糖尿病になる可能性は残されているのです。

家族みんなで栄養バランスのとれた美味しい食事メニューを考えたり、夫婦一緒にウォーキングをするなど、糖尿病治療とともに家族みんなで糖尿病予防に取り組むことで、楽しみながら根治を目指していきましょう。