もはや国民病ともいわれる糖尿病。
50代60代の男性だけでなく、女性や若年世代にも糖尿病患者は増えています。
しかし、糖尿病の本当の恐ろしさについて実感している患者さんはどれくらいいるのでしょう。
痛みや外的変化を伴わない糖尿病は、予備軍と診断されてもそのまま放置していたり、糖尿病を発症していても、ついつい医師の指示を軽視して、運動療法や食事療法に手を抜いたりしてしまいがちです。
また、血糖値を下げれば糖尿病は治る、と軽く考えている方も多いようです。
誰でも糖尿病予備軍、糖尿病を患う可能性のある現代の生活環境。
糖尿病の怖さをしっかりと認識し、もし自分が糖尿病になったとき、しっかりと治療を行える知識を備えておきましょう。
糖尿病とは
糖尿病とは、血中のブドウ糖の濃度が基準値よりも高い状態が続く病気です。
それ自体はほとんど無症状ですが、放っておくと様々な合併症を引き起こします。
糖尿病が恐ろしいのは、引き起こされる合併症が重篤な病気であるということです。
その中でも『糖尿病性神経障害』『糖尿病性網膜症』『糖尿病性腎症』は3大合併症といわれています。
このような合併症を予防するのが、糖尿病治療と言えます。
糖尿病の診断
糖尿病は発症に至っても自覚症状がほとんどありません。
そのため、糖尿病と診断されるきっかけは、健康診断や検診による割合が大半です。
健康診断では、通常空腹での検診となるため、食後高血糖(かくれ糖尿病)が見落とされがちです。
健康診断で異常と診断されてから、病院で再検査するのではなく、できれば定期的に糖尿病専門医で検査することが、早期発見の近道です。
最近は、家庭でも血糖値を測定できる機器も普及していますし、手軽に測定できる機材を導入している薬局などもありますので、自分で空腹時と食後に測定するのも良いでしょう。
糖尿病治療
糖尿病の治療は主に『食事療療法』『運動療法』『薬物療法』の3つにより行われます。
規則正しい食生活、適度な運動、急激に血糖を上昇させない薬や血糖を下げる薬を組み合わせて、血糖を正常値に保つのが目的です。
糖尿病について誤った知識を持つひとの多くは『血糖値が下がれば糖尿病は治る』と考えています。
これは大きな誤りで、糖尿病は一度発症すると、一生付き合っていかなくてはいけない病気です。
なぜなら、長くにわたって生活してきた習慣によって糖尿病を発症したという事実から、治療により一旦血糖値が正常値になったとしても、またもとの生活に戻れば、再発する可能性は極めて大きいのです。
血糖値が下がったとしても、糖尿病が治ったわけではありません。
しかし、規則正しい食生活や適度な運動は、健康に暮らすために最も大切な生活習慣です。
糖尿病の再発を防ぐことで、様々な生活習慣病の予防にもなります。
『一生治らない病気』という悲観的な捉え方でなく、健康的に生きていくための習慣作りのきっかけとして、前向きに治療を継続していきましょう。
『血糖値が下がった』状態をキープし続けることで、健康な人と変わらない生活をおくることもできるのですから。