糖尿病予備軍は動脈硬化になりやすい?

一般に糖尿病予備軍とか境界型などと言われるグループがあります。

これは、血糖値が正常範囲を越えているが、糖尿病の診断基準に当てはまるほどには上昇していないグループを指し、血糖値の範囲で表しますと、空腹時血糖値が110~125mg/dlで、食後血糖値が140~199mg/dlの方を予備軍と見ているようです。

糖負荷試験という検査の結果によって判定されるもので、一般的には2型糖尿病(インスリン非依存型糖尿病)の軽症型と理解して差し支えないでしょう。

血糖の上昇はあっても軽度で、合併症も進展しにくく、薬剤などによる治療は必要ありません。

しかし、生活習慣の改善を怠ると数年の内に発症してしまう恐れがあります。

日本人の死因の3割は、動脈硬化が原因で起こる心臓病や脳卒中が占めています。

これらの病気では、命は助かったとしても、身体の障害などが残って動きが不自由になり、生活に支障をきたします。

糖尿病予備軍の人は糖尿病の人と同じように、動脈硬化が進行しやすくなっています。

これには、血糖値がいくらか高いことのほかに、高血圧や高脂血症、高尿酸血症などの動脈硬化の危険因子を一緒に持っていることが多いためです。

糖尿病予備軍を単に糖尿病になりやすいという視点でとらえるだけでなく、動脈硬化が進行しやすい状態と考え、血糖値とともに血圧、総コレステロール、尿酸値などに気を配り、できるだけ健康的な生活を心掛けてください。

生活習慣病の発病の原因は、肥満や運動不足など、ほとんど共通することですから、糖尿病を予防する生活は、それらの病気を抑える結果につながります。

日本では毎年糖尿病人口が増加しています。

糖尿病境界線の予備軍と呼ばれる人も多くなっています。

境界線の見極めをしっかり意識すれば早めの対策もできるはずです。

厚生省が発表した統計によりますと、糖尿病が強く疑われる740万人のほかに、この病気の可能性を否定できない糖尿病予備軍の人がなんと800万人にものぼることが明らかになりました。

現在ではその数よりもさらに増加しているものと専門家は見ています。

10年前の糖負荷試験で「正常型」と判定された人のうち、10年後に糖尿病にすすんでいるのは4.8%であるのに対し、「境界型」と判定された方の場合は20~60%が糖尿病へ進んでいました(調査方法や年齢などによってバラツキがあります)。

この事からも、「境界型」はやはり糖尿病の予備軍であるといえます。

境界型の人は血糖を下げる働きのあるインスリンというホルモンの分泌はあまり低下しておらず、むしろ分泌量が増えている人が多いようです。

肥満、運動不足、アルコールなどによってインスリンの効きが低下し、それを補うためにインスリン分泌量が増えるものと考えられます。

インスリンの血中濃度が高いと高血圧や高脂血症を引き起こし、最終的に心筋梗塞や脳梗塞の原因となることもあります。

またインスリンの分泌過剰が続くとすい臓のβ細胞の機能が低下してインスリンの分泌が悪くなり、糖尿病へ進行していくのです。

現在予備軍の人が糖尿病を発病しなければ、日本の糖尿病人口は確実に減少していきます。

糖尿病の発症を防ぐためには?

1. 肥満を解消する

  • ・第一歩はダイエット、体重を標準体重にする。

※【身長(m)×身長(m)×22=標準体重】

2. 食生活の改善

    • ・身長や職業などに合った適切なエネルギーをとる。

    • ・栄養をバランスよくとる。

(緑黄色野菜を十分に、ミネラル・ビタミンを豊富に、糖質、脂肪を減らす)

    • ・3食必ずとり、間食をさける。

3. 運動の習慣をつける

    • ・習慣づけるためにも、まずは半年間続けることを目標としましょう。

4. ストレスを解消する

  • ・ストレスは糖尿病の大きな誘因のひとつ、お酒やたばこに頼らず、気分転換を図れる趣味を見つけましょう。

※糖尿病に限らず、生活習慣病の多くが40歳を超えて発症しやすくなります。

ただし、最近は糖尿病も10代、20代、30代で増えてきています。

だから、決して40歳未満だから安心というわけではありません。

糖尿病にかかってからでは遅く、やはり、若い頃からの生活習慣が大切といえるでしょう。