糖尿病の治療・予防に食事療法は欠かせません。
しかし、糖尿病予防食は美味しくない、量が少なくて物足りない、と思われがちです。
糖尿病予防食は、決して特別な食事ではありません。毎日のちょっとした注意と工夫だけで、我慢しないで続けられる糖尿病予防食になるのです。
最近では、栄養バランスの良い健康的な糖尿病予防食は、血糖値を気にしなくてもよい人たちの間でも人気の食事メニューとなりつつあります。
一度糖尿病を患ってしまうと、食事療法は一生続きます。
毎日おいしく楽しい食事を続けるには、どのようなことに気をつければ良いのでしょう。
極端な食事制限は厳禁!毎日続けることが大切
『とにかく痩せなければ』と焦って、全く食事を抜いてしまうような極端な食事制限はいけません。
短期間で減量してしまうと、かえってリバウンドを起こしやすくなります。
また、見た目は減量に成功したように見えても、栄養不良を引き起こす原因ともなるのです。
血糖の上がりやすい炭水化物を一切摂取しない炭水化物抜きダイエット、リンゴだけしか食べないリンゴダイエットなど、ある食品だけを食べたり、抜いたりというような食事方法も、栄養が偏ってしまうため大変危険です。
太り過ぎは良くありませんが、太りすぎの原因である食生活を改善することを目的にして、栄養バランスのよい食事を心がけ、時間をかけて目標体重に近付けていきましょう。
食べる順序を変えるだけでできる血糖値コントロール
糖尿病食事療法の本来の目的は、血糖値をコントロールすることです。
血糖の急激な上昇を抑え、なるべく血糖を正常な値に保つにためには、食べる順序に気をつけることがポイントです。
『まずは野菜から食べる』というのは、糖尿病食事療法の鉄則のようになっています。
それは、野菜に含まれる食物繊維が糖の吸収を抑制すると考えられているためです。
また、良く噛んで食べることで満腹中枢が刺激され、過食を抑える効果もあります。
野菜やきのこ、海藻など食物繊維の多い食品を摂取するだけでなく、最初に食べることでその効果は更に高まるといえます。
うどんやラーメンなど麺類の場合でも、単品で注文するのではなく、野菜サラダやワカメの酢の物などを一緒に頼んだり、野菜のたっぷり入ったちゃんぽんにするなど、意識的に炭水化物を後に食べるように心がけましょう。
近年注目されている低GI値食品
近年、GI値が注目されています。
GI値とは、Glycemic Index(グリセミック・インデックス)の略で、食物が消化されて糖に変化する速さを表した指標のことです。
GI値が高いほど急激に血糖を上昇させ、低GI値の食品ほど糖の吸収はゆるやかになります。
糖尿病の食事療法の本来の目的は血糖値コントロールにあります。
低GI値の食品を摂取することは、急激な血糖値上昇の抑制に効果的です。
例えば、白米よりも玄米、うどんよりもお蕎麦、食パンよりもライ麦パンというように、同じような食品でもGI値の低い食品を選択しましょう。
外食は普段よりもヘルシーなものを選択
外食の場合は、家庭の食事よりも味付けが濃いものや、油を使ったメニューが多くなります。また、1食分の量も少し多めに出されるため、ついつい食べ過ぎてしまいがちです。
なるべく外食時は『肉料理よりも魚料理』『丼物はやめて定食』という風に決めてしまうのも良いかもしれません。
また、少し勿体ないかも知れませんが、お腹いっぱいだと思ったら身体のためを思って無理をして食べずに、残すことも必要かもしれません。
なるべく自宅で手作りの食事をいただきたいものですが、外食やお弁当を買って食事をするような場合は、ヘルシーなものを選択しましょう。
外食やコンビニ弁当などの良い点は、カロリー表記のあるところ。
カロリーの高すぎるものはなるべく避けるということもできます。
『食事制限』と聞くと、それだけでストレスになり、過食をまねく要因にもなります。
あくまでも、糖尿病の食事療法は血糖をコントロールするためのもの。食事をすることに必要以上に過敏になり過ぎないようにしましょう。
栄養バランスに気をつけたり、食べる順番を工夫したり、低GI値のものに置き換えたりすることが、糖尿病時の食事で大切なことなのです。
無理をせず、続けられる自分に合った食生活習慣を身に付けるようにしていきましょう。