ヘモグロビンエーワンシー(HbA1c)

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HbA1c(グリコヘモグロビン)

まずヘモグロビン(以下Hb)についてお話ししましょう。
Hbとは、赤血球内にある色素タンパク質の一種で、人間の体に欠かせない酸素をハイから取り入れ全身に運搬する重要な役割を担っている物です。

そして、HbA1cとはそのヘモグロビンにブドウ糖がくっついたものを言います。

ですからHbA1cを糖化ヘモグロビンもしくはグリコヘモグロビンともいいます。

これはブドウ糖が血液中に多ければ多いほどHbにくっつき、増えることになります。

HbA1c検査は1~2ヶ月の血糖平均値を示す

まず、Hbはそれを含んでいる赤血球の寿命と関係があるのです。

赤血球の寿命は120日(4ヶ月)で、新陳代謝によって毎日少しずつ作られて全身を駆けめぐった後,肝臓や脾臓で少しずつ分解されます。

それなのに1~2ヶ月の平均値を示すのはどういう事でしょうか?

寿命が120日といってもできたての赤血球にはブドウ糖はくっつきにくくまた、3~4ヶ月前のものは圧倒的に赤血球を占める割合が少ないのです。

したがっておよそ寿命の半分である1~2ヶ月の平均血糖値を表すことになるのです。

HbA1cは空腹時血糖値と食後血糖値の平均か

平均血糖値といっても実は空腹時血糖値はHbA1cとあまり大きい影響はないことが分かってきました。

HbA1cに強い影響を与えるのは食後の血糖値です。

食後2時間の血糖値は糖質によって大きく左右するので、HbA1cの値をうまくコントロールし、合併症を予防するには、糖質の『量』と、同じ糖質でも血糖の急上昇を防ぐ食品(GI指数が60以下の食品)の摂取が重要になってきます。

HbA1cを1%下げるとどんな効果があるのか

心臓病、脳卒中、神経障害、腎不全などの合併症のリスクを減らすことが出来ます。

網膜症が悪化する危険は40%、心臓病発作の危険性は20%減ると言われています。

逆に1%上がると合併症のリスクは2倍になると考えていいでしょう。

空腹時血糖値だけでなく食後血糖値も重要

現在主に検診などで行われる糖尿病検査は空腹時血糖検査です。

110mg/dlなら糖尿病予備軍(境界型)と診断されます。

しかし最近、空腹時血糖値が高くても食後血糖値が正常範囲なら合併症のリスクは正常者とあまり変わらないことが明らかになりました。

それとは逆に同じ予備軍でも空腹時血糖値が正常で食後2時間の血糖値が高い(140~199mg/dl)予備軍は、正常者に比べ、心筋梗塞や脳卒中など血管疾患による死亡率が高いことが報告されています。

原因はハッキリと解明されていませんが、専門家の間では、

1・食後の血糖値と同時に中性脂肪が高いという2つの特徴が相まって動脈硬化を進めます。
2・インシュリン不足という日本人型の糖尿病と、内臓脂肪などが原因でインシュリンの効きが悪く、筋肉や肝臓などでブドウ糖をうまく取り込めない、といった欧米型の糖尿病が複雑に絡んで疾患を起こしていると思われています。

したがって食後血糖値の急上昇を抑えるのは糖尿病患者さん達にとってとても大切なことと言えます。

合併症の予防のポイントは、糖尿病治療の基本--血糖コントロールと定期的な検査につきることを覚えておきましょう。