早くからインスリン注射を開始することにより早く高血糖を改善し、高血糖による合併症を防ぐためです。
高血糖をそのまま放っておくと、残されたインスリン分泌能力が低下して、細胞に対するインシュリンの作用も衰えます。
その状態が原因となって、高血糖はさらに促進されます。
高血糖はご存じの通り、網膜症、腎障害、最悪の場合は心筋梗塞や動脈硬化など恐ろしい合併症を引き起こす原因となるのです。
食後の高血糖を抑えて、膵臓を休養させ、残されたインシュリン分泌能力を回復させるためです。
一般的なⅡ型糖尿病で絶対にインスリン注射を永続しなければいけないというのは、膵機能の低下が著しく、経口剤療法(もちろん食事療法と運動療法も)ではどうしても血糖コントロールができなくなった場合が一般的です。
一生、自分のすい臓を大事にしたいのなら、できるだけ早くインスリン療法に切り替えたほうがよいのです。
インシュリンの種類
インスリン注射液は添加物をいろいろ工夫することによって、作用のあらわれる速さと持続時間の長さを調節した、次のような種類があり、患者さんの症状や生活に合わせて単独か組み合わせて使います。
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- ・ 速効型インスリン
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- ・中間型インスリン
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- ・混合型インスリン
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- ・ 長時間作用型インスリン
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- ・超速効型インスリン
インスリン注射の3原則
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- 主治医から指示された種類のインスリン製剤を
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- 決められた時間に
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- 決められた量だけ注射する事
インスリン療法と自己血糖測定
的確なインスリン療法を行うためには、1日を通じての血糖のデータが必要です。
そのため、日々の血糖値の変動を自分で測定します。
通常は、指先から採った血液を簡易血糖測定器で測ります。
血糖自己測定は、糖尿病の自己管理手段としてたいへん有効ですし、インスリン療法においては欠くことができません。
(インスリン療法患者の場合、血糖測定にかかる費用には健康保険が適用されますのでかかりつけの医師に相談して下さい。)
インスリン注射と低血糖
インスリン注射や経口血糖降下剤をのんでいる人が、食事を抜いたり、食事の量やタイミングが不適切だった時、また過剰な運動を行った場合には低血糖が起こる可能性があります。
低血糖の初期症状(冷や汗、手のふるえ、動悸など)に気づいたら、がまんせずにペットシュガーやジュース、飴などを口に入れ、すぐに対処する必要があります。
インスリンや薬物療法を行っている人は、常にペットシュガーなどを持ち歩く必要があります。
※インスリン注射をはじめることは、確かに勇気がいることです。
注射そのものに対する恐怖感や、煩わしいという気持ちもあるでしょう。
しかし、インスリン療法を行うことにより、より良好な血糖コントロールが可能だと思われるケースはたいへん多くみられます。
インスリン療法は決して最後の手段ではありません。
良好な血糖コントロールを目指すために始める新たなスタートでもあるのです。