コーヒーとアルコールは、大人がたしなむ代表的な嗜好品だ。毎日飲んでいるという人も多く、健康への影響が気になる。
コーヒーをよく飲む人は、糖尿病リスクが低下し、死亡リスクも低下することが最近の研究で明らかになった。
コーヒーを1日3〜4杯飲む男性は糖尿病リスクが17%低下
コーヒーや飲酒が、2型糖尿病などの生活習慣病や循環器病と関係していることや、血糖や血圧など血管に影響することが分かってきた。
コーヒーには数百におよぶ成分が含まれており、そのなかには2型糖尿病など生活習慣病の予防に有用なものも含まれている。
2型糖尿病の予防に効果的な飲料としてコーヒーは注目を集め、日本を含む世界各国から「コーヒーに2型糖尿病を予防する効果ある」という報告が発表されている。
国立国際医療研究センター(当時)の野田光彦氏らが2009年に発表した、40〜69歳の日本人約5万6,000人を対象とした「JPHC研究」では、コーヒーを飲む回数が「1日3〜4杯」の人は、「ほとんど飲まない」人に比べて、2型糖尿病を発症するリスクが、男性で17%、女性で38%低下することが分かった。
興味深いことに、紅茶やウーロン茶を飲む習慣のある人ではこうした傾向はみられなかったという。コーヒーには、ストレスに反応して分泌されるコルチゾールの活性化を妨げたり、ストレスによる血圧上昇を鈍らせたりする作用があるとの報告があり、ストレスの影響を緩和する作用がある可能性がある。
「コーヒーには、ストレス緩和以外にも、糖尿病リスクを下げるような独自の効果があると考えられる」と、研究者は述べている。
1日4〜5杯のコーヒーが死亡リスクを12%低下
米国立がん研究所などが約50万人のデータを解析した研究でも、コーヒーを摂取していると死亡率が低下する傾向がみられた。
「英国バイオバンク」(UK Biobank)は2006年に設立され、血液やDNAサンプル、生活習慣や身体活動レベルに関する情報など、現在までに約920万人からデータを収集している。
研究チームは、英国バイオバンクに登録された平均年齢が57歳の男女50万2, 641人のデータを解析した。その結果、コーヒーの飲用は、全死因の死亡率と逆相関することが判明した。
死亡リスクは、コーヒーをまったく飲まない人に比べ、コーヒーを1日に2〜3杯飲む人は12%、4〜5杯飲む人は12%、6〜7杯飲む人は16%、6杯以上飲む人では14%、それぞれ低下した。
コーヒーが健康に良い理由は
コーヒーが糖尿病や心臓病の予防に効果がある理由として、コーヒーに含まれているカフェインやクロロゲン酸が代謝に関わっている可能性が指摘されている。
カフェインには交感神経を刺激する作用があり、コーヒーを飲むと、飲んだ直後には血圧値や血糖値が上昇する。しかし、コーヒーを日常的に飲み続けると、体脂肪の燃焼が促されると考えれている。
また、コーヒーに含まれるポリフェノールであるクロロゲン酸には、強い抗酸化作用がある。活性酸素は主に体内で作られる不安定な酸素で、過剰な活性酸素は細胞や遺伝子を傷つけ、血液中では脂質と反応し、動脈硬化や心筋梗塞などを引き起こす。
クロロゲン酸が炎症や酸化ストレスを抑える作用をし、糖尿病や動脈硬化の予防に寄与しているのではないかと考えられている。
何杯までなら飲んでも良いのか?
健康効果を期待できるコーヒーだが、飲み過ぎには注意が必要だ。
コーヒーに含まれるカフェインを大量に摂取すると、不眠症や神経症、心拍数の増加、高血圧、不整脈が引き起こされるおそれがある。
カフェインには、中枢神経に働きかけ、眠気や疲労を抑え、運動機能を高める興奮作用や、骨格筋に働き、疲労感を抑え活動性を増大させる作用がある。
また、心臓の心筋に作用し、収縮力や拍出量を増加させたり、腎臓の血管を拡張させ、腎臓への血流量を増やし尿の生成を促す利尿作用がある。
欧州連合(EU)の欧州食品安全機関(EFSA)は、健康を維持するために望ましいカフェイン摂取量について、成人では1日400mg未満に抑え、1回の摂取量が200mgを超えないようにするべきとする提言を公表している。
通常のコーヒーであれば、1日のカフェインの摂取量は4〜5杯までが適当な量だという。
9時から12時。13時半から17時半まで。土曜、日曜日は休み。